こんにちは、gigi-giです。
前回 第0回では、このブログの趣旨・目的についてお話しさせていただきました。
今回は導入ですね。
実際になにかを作っていく前に、まず準備しましょう。
最初に断っておきますと、このブログでは3Dプリンター個別の機種についてのセットアップについては敢えて割愛します。メジャーな機種のセットアップについては今紹介されているブログや動画が多く、ネット上には十分な情報がありますので。
今回の記事では、3Dプリンターの種類ごとの向き不向き、選び方、本体以外に必要なものについて紹介し、次回いよいよ品物を出力するための準備段階までを消化したいと思います。
導入する3Dプリンターを決めよう
大きく分けて2種類から選ぶことになる
一口に「3Dプリンター」と言っても、実は様々な種類があります。
造形方式によって大別すると
- 熱溶解積層方式
- 光造形方式
- インクジェット方式
- 粉末焼結方式
など・・・
(本当はもっと細かい区別があるのですが、わかりやすく大まかに分けるとこんな感じです。)
フルカラーで出力できるインクジェット方式は憧れますね…いつか導入できたらなあ
このように分けましたが、インクジェット方式や、粉末を固めていく方式のものは
業務用の非常に高価な機材(数百~数千万円)になるため、このブログで扱うことはありません。
この2タイプの方式を使うハイエンドな機械は、フルカラー彩色による出力が可能だったり、金属材料を扱ったりもでき、また出力スピードに優れていたり、頑丈なものを出力できたりというスグレモノなので、いつかは家庭用として使うことができる時代がくるとうれしいですね。
というわけで
家庭用3Dプリンターを選ぶ場合は、少々乱暴な分け方ではあるのですが
- 熱溶解積層方式 (FDM)
- 光造形方式 (LCD)
のどちらか2種から選ぶことになります。
「FDM」、「光造形」の単語でそれぞれ覚えておくのがわかりやすいかなと思います。
(光造形にもSLA・DLP・LCDと3種類あるのですが、安価な機種はだいたいLCD方式を採用しているから安価なのでこれも選択肢は無いようなものでしょう)
ここまで、名前だけ言われてもどっちがどっちやら…な状態だと思います。
この2方式は見た目も構造もまったくの別物です。
共通していることは、3Dのモデルデータを立体物として出力できること、
その基本原理として、3Dデータを0.01~0.3ミリ程度の厚さごとに2Dとしてスライスし、それを積み重ねていくことで立体物として再現しているという点です。
その2Dのスライスを、どんな仕組みを使って樹脂で印刷しているか がそれぞれの違いになります。
FDM
- リール状に巻かれた樹脂材料(フィラメント)を背負っている
- ⇒このフィラメントを熱で溶かし、糸状態にしたもので線を引いていくことで印刷し、その層を積み上げることで出力していきます。
- ⇒フィラメントはオーソドックスなPLA樹脂をはじめ、ABSやPETなど様々でメジャーな樹脂材料が市販されています。
- 印刷ヘッド(ノズル)がある
- ⇒スライスされた画の形にヘッドが動き、同時にノズルから樹脂が射出されていくことで出力品を描くことができます。
- 密閉された箱型ものもあるし、骨組みに部品がくっついているだけのオープンなものもある
- ⇒ノズル部は高温に熱されていますが、それ以外は危険性などが低く、アクチュエータ類以外はとことんシンプルにしても問題のない方式ですので、フレームを自分で組み立てるタイプも普及しています。
光造形
- 液体状の材料を溜めておくためのトレーが中央にある
- ⇒液体状の樹脂(UVレジン)に紫外線ライトをあて、硬化させることで1層の画を印刷する。それを積み重ねていくことで出力する。
- ⇒光造形で使用できる材料は基本的にすべて 液体レジン です。現在は改良が進み、いろんな特性を持ったレジンが販売されています。
- ノズルのようなものは無く、下を向いたプレート(プラットフォーム)が上下する構造
- ⇒LCD方式の場合、1層分のライトを一度に照射することでプラットフォームに印刷されるのでノズルではなく液晶パネルがついています。
- 密閉されたものしかなく、縦長形状のものがほとんど
- ⇒硬化前の液体レジンには有毒性があり、また強力なUVライトも使用しますので、光造形プリンターは密閉型のものがほとんどのようです。
- 出力後に後処理が必要
- ⇒元が液体ですので、出力したばかりの品物には当然液体レジンが付着していますからこれを洗浄します。また、二次硬化という作業も必要になります。
FDMタイプと光造形タイプの特性を比較
さて、次にこの2種類からどちらを選ぶかですが
結局最終的な判断基準は 何を作りたいか によって決まってくるでしょう。
また、ぶっちゃけると 安いんだから両方買っておいてもいい です。
どちらの方式にも一長一短あるので、出力したいものによって使い分けるという考え方ができます。
私が実際に両方のタイプを使用してみた結果から、違いを下の表にまとめてみましたので参考にしていただければと思います。
| 熱溶解方式 (FDM) | 光造形方式 (LCD) | |
|---|---|---|
| 本体以外に必要なもの | 少ない | 多い |
| 安全性 | 安全 (ノズル部が高温であることを除き) | 安全性は低い (液体レジンを扱うため、 有機溶剤を扱うこともあるため) |
| 出力スピード | 遅い (線を描いていくため) | 比較的早い (LCDの場合、1層を一気に印刷するため) |
| 失敗しやすさ | 失敗することはある | 失敗することはある どちらのほうがというのは 一概には言えない |
| 扱いやすさ | 楽 | 難 (失敗時の対応や 出力後の処理が必要) |
| 積層の見え方 | 積層目立つ | 比較的目立たない |
| 一層の厚さ (ピッチ) | 荒 (0.2mmが基準) | 細かい (0.05mmが基準) |
| 出力品の耐久性 | 頑丈 (材質そのままの耐久性がある) | 比較的脆い (頑丈なレジンも開発されているが) |
| 出力品の造形 | 荒い | 綺麗 |
| 材料のコスト | 低い | 高い (キロあたりレジンはフィラメント の2倍程度の価格はすると思ってよい) |
| 使える材料の種類 | 多い (材質、色ともの多様) | 少ない (基本的にレジンのみ 色もフィラメントほど多くはない) |
| サポート材の有無 | 必要 | 必要 |
すごくシンプルにまとめると、
FDM:安全で扱いやすいが、出力品の造形はすごく荒い
光造形:面倒な部分が多いが、出力品の造形はきれい
となります。
私が選んだ機種
私の場合は、やはり造形が細かく積層跡を目立たなくしたいというのがはずせなかったので、まずは光造形から導入しました。
〇光造形方式
その当時最も安価で評判も比較的良かった Anycubic Photon を選びました。
Amazonで購入価格は 25000円 ほどでした。
(↑リンクは後継機種のPhoton Sになります。)
その少し後、FDMでの出力にも必要性を感じたため
〇FDM方式
その当時Amazonでオプション付きセールだった Creality Ender-3X を購入ました。
購入価格は 29000円 ほどでした。
(↑リンクは後継機種のEnder3Pro-Xになります。)
あくまでその当時買いやすかった機種ですので、
これから3Dプリンターを購入される方は最新の機種を購入されるのがいいと思います。
また、これらの方式では出力されるものは単色成形になりますので、
色を変えたい場合は、プリンターにセットしている材料の段取りを変える必要があります。
いろんな色の材料を気軽に使い分けたかったり、すぐに複数のものを出力したかったりするようになると
もう3Dプリンター自体を複数台買い足していって同時に使っちゃうのもアリかもしれませんね。
現状こういった非常に安価な3Dプリンターは大半が中国メーカー製のもののようです。
修理部品や周辺機器の入手については情報が乏しいのが難点ですね。
台湾メーカーの機種だと、安価でかつ日本法人がありサポートもしっかりしているイメージです。
国産の3Dプリンターは現状では家庭用とされるものでも10~20万円程はどうしてもするようです。
3Dプリンター本体以外に必要になるもの
3Dプリンターを購入したらすぐにそのまま使えるか?
残念ながらそんな親切なものではないのが現状です。
とにかく使うために必ずあるべきものをピックアップしますので、ゆっくり揃えていきましょう。
(後から順次画像を追加していく予定です)
共通して必要なもの
〇 3Dデータ作成ソフトウェア
まず出力するデータがなければ話にならないので、
作成するソフトをインストールしたPCが必要になります。
⇒ Autodesk Fusion 360
2021年現在、個人で無料で使用できる3DCADソフトと言えば
こちらが最も優秀でしょう。使い方の情報も豊富に入手できます。
ただし、あくまで商用に利用しない個人利用においてのみの無料化とのことです。
個人利用を超える場合はサブスクリプションへの加入が必要になりますので
注意しましょう。
このブログの趣旨としては誰でも3Dプリントを楽しもうというところにあるので、3DCADスキルに自信のない人が無理に作ろうとする必要もないと考えます。
現在、3Dプリンター出力用のSTLデータを提供されているクリエイターさんや、配布サイトも多数あり、自分で作らずとも入手や依頼も可能なのです。
〇 データ移動用メディア
パソコンから3Dプリンター本体へデータを移動させるメディアが必要です。
USBメモリか、またはメモリカードかは機種によって変わりますが、大抵は本体に付属していると思われますので、買い足しは不要でしょう。
FDM方式の3Dプリンターに必要なもの
FDMの場合は用意するものは多くないです。
〇 フィラメント
材料ですね。これがなければ何も作れません
PLA 1kg 3000円~程度からAmazon等で購入できます。
また、テスト出力のため少量ですが本体に付属することもあるようです。
〇 工具(組立て式の場合)
組立て式の機種を購入した場合は、六角レンチやドライバーなどを使用して組み立てていくことになると思われます。機種によっては必要になる工具一式まるごと付属してくるようです。(Ender3はそうでした。)
〇 スライサーソフト
3Dモデルのデータ(.stl形式)にサポート材をつけたり、出力するための各種設定を付与したりと
3Dプリントが実現できるデータにするためのソフトです。
メーカーによっては専用のものが配布されることがありますが、
FDMの場合は ⇒ Ultimaker Cura
が汎用性が高く、よく使用されているようです。インストールしましょう。
〇 スクレーパー
出力品をプラットフォームから分離させるためのヘラです。
これも本体に付属してくるものですが、普通の金属ベラがついてきた場合は、品物のプラットフォームへの食いつきが強いとなかなかはがせなかったり、プラットフォームにキズが付きやすかったりと結構難儀しました。
その時にネットで似た事例を探して購入したこのニトムズ社の「テープはがしカッター」がかなり使い勝手がよかったのでオススメしますね。
光造形方式の3Dプリンターで必要なもの
光造形の場合は、出力後の後処理に必要になるものが非常に多いです。
事前に揃えておいたほうが良いでしょう。
〇 UVレジン
やはり材料がなければ始まりません。
本体を製造しているメーカーが同様にUVレジンも扱っていることが多いようです。
安価なもので 500g 3000円~程度から
ABSライクレジンや水洗いレジンなど、新種のレジンも多く出回るようになりました。
ボトル容器に入った状態で販売されていることが多いです。液体状態のレジンは毒性があるので取り扱いの際は、手袋とマスクを着用したほうが良いでしょう。
〇 スライサーソフト
FDMと同様に光造形用のスライサーソフトが必要になります。
専用のものが付属のメディアに入っていることもありますし、
汎用フリーソフトならば、⇒ ChiTuBox
というスライサーソフトが使いやすくて良いと思います。

〇 スクレーパー
出力品をプラットフォームからはがす際に使うヘラです。
これは付属のものがあればそれで十分かと思います。
ここから光造形特有の道具について網羅していきます。
・ 洗浄用有機溶剤
出力したばかりの造形物からレジンを洗い落とすための溶剤です。
例えば、無水エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)がよく使用されています。
これらは引火性・揮発性のある危険物ですので、取り扱いには注意が必要です。
あまり人に使用を奨めたりということのできるものではありませんので
このブログとしては、水で洗浄ができる水洗いレジンをおすすめします。水洗いレジンならば有機溶剤を使用する必要はありません。
・ ピンセット
洗浄前の出力品はピンセットで触るのが良いです。
・ トレイ
プラットフォームから出力品をはがす時の作業場所としたり、はがした出力品を一時おいておく場所としてあると便利です。100均の料理用金属トレイで十分です。
・ キムタオル
レジンや溶剤をふき取るためにティッシュではなく、キムワイプやキムタオルなど紙ウエスを使用しましょう。
・ 洗浄槽
洗浄する際に使う容器ですね
100均のビンや深底タッパー程度で十分でしょう。粘性の高いレジンや色が濃いレジンの場合は三次洗浄までしたほうがいいです。蓋を回し閉めして密閉できるビンなら、中に品物と洗浄液を入れて振ることでよくとれますが、容器に入れたまま音波洗浄機を使うのが安全かつ確実です。
・ 保護手袋
レジンを扱う際は手袋で手を保護しましょう。
使い捨ての薄手ニトリルゴム手袋が良いですが、100均のポリエチレン手袋でも問題はなさそうです。
・ マスク、保護メガネ
安全のためマスクとメガネを着用したほうが良いです。
・ ストレーナー
本体のレジンタンクからレジンを取り出す際は、レジンの中に出力品の欠片など混ざっている可能性がありますので、必ずストレーナーでレジンを濾してから元のボトルにもどします。
・ レジン移し替え用容器
普通の紙コップでいいです。
・ UVライト
洗浄が終わったレジンはまだ硬化が完全ではないです。
ネイルアート等に使われる2000~3000円程度のネイルライト(硬化波長350nm~410nm)が入手しやすく使いやすいので、これでUVライトを照射して二次硬化させましょう
この二次硬化工程をしないと強度が著しく低かったり、表面のベタつきがとれなかったりと、不完全な状態のままです。
あるいは、太陽光を使用するのもアリだと聞いたことがあります。
ざっと以上になります。
非常に多いですが、光造形をする際は無いと結構困るものばかりです。
一部消耗品は本体に少量同梱されていることもあります。
自分でわかって書いてても結構びっくりするハードルの高さですね…
光造形出力が一般化するには、洗浄・二次硬化工程をどうにかして、水洗いレジンが主流化するくらいにならないと難しいのかもしれません
今回のまとめ
1,安価な家庭用プリンターから種類を選ぶとFDMか光造形の2択
2,この2方式は3Dプリンターではあるが仕組みや特性はまったくの別物
3,作りたいものから必要な特性を逆算してプリンターを選ぶといい
4,FDMは造形が荒いが、扱いやすい
光造形は造形がきれいだが、取り扱いが面倒
5,本体以外にも必要なものが多々ある
今回のポイントはこんなところでしょうか
今回の記事でご紹介した情報は、3Dプリンターを扱っているWEBサイトならば必ず載っているような基本的な知識ばかりになりますが…だいぶ長くなってしまいました。
必要なものとかは別ページにまとめたほうがよかったかもしれないです…。
次回 第2回 からはいよいよ本題、光造形で実際にモノを作っていきます!
